詩人:剛田奇作
歌をうたうと
心が恋したみたいになる
歌をうたうと
内臓がバラバラに
好き勝手に走りだしていく
毛根もみんなあさっての方角を向いてる
歌は
手綱をふりきって
水の上も
あの高い山の花びらの上も
走り出してしまう
歌を うたうと
全身の血液が
開けたてのCOLAみたいになる
歌をうたったあとは
きっと夜風が締めのお茶漬けみたいに身体にしみる
うたう私は
色鉛筆で書いたような
牧歌的な故郷に
いる
ひどく潜在的な場所
調子がよくても
歌をずうっとうたってはいけない
現実と、うたの狭間をたゆとわなければ
次のうたは生まれないから