|
詩人:甘味亭 真朱麻呂
何十年後も
何百年後も
人は旅をしてる
人は旅人だから
誰でも何かをめざして日々生きるよ
力強く踏み出したはずのスタートから
こんなに傷ついて
涙流して帰りたいと繰り返す 理由は弱虫だからだけじゃないよ
あまりにもめざす場所が悲しいから
終わりが見えてしまう
その先にいつも死に目を見てしまうから
終わりに近づくたび旅人の足はすくむ
僕、まだまだだね…
そのうち 日は沈み
僕は坂を下る
何年後も変わらない日々が続いてる
何ひとつ…
そう願って
精一杯 笑う僕の瞳の中で赤く染まる空がもうすぐ夕闇にのまれてしまう
予報にもないふいの夕立に降られながら 傘もない僕はぬれた地面を走りながら 雨宿りできる場所を探す
旅は続く
なにかを失い
なにかを得る
そしてまた
なにかを失い
なにかを得る
繰り返す平凡がいつか光り輝く日を待つ
僕は人生の雨宿りしてる
屋根の下で 雨がやむのを待ってる
そしてやんだならまた旅へ
繰り返す波
屋根はそこらじゅうたくさんあるから大丈夫
傷つくことおそれずにゆこう
旅人は屋根の下で雨をしのぐ
困ったときはそうすればいい
ゆっくりゆっくり焦らないでも撫でられる場所で笑おう
雨は冷たすぎる
この街は屋根が多すぎる
でもその分 雨が多いから屋根は必要だ
悲しみの雨をしのぐ屋根と その生活の下で僕は生きる
きっとそれは変わらないこと
きっとそれが僕に与えられた使命
そう思えば雨も冷たくない
時には雨の中も傘がなくても屋根を素通りして悲しみに降られよう
時にはそんな日も必要だから
強くなるため 雨よ降れ やさしい雨よ
僕を強くしておくれ 旅人の明日を照らすように きれいな虹をそのあとに架けてくれたら僕は幸せ
何もいらない。