詩人:高級スプーン
破れた殻を
被って僕は
会社に向かった
「お早ようございます」
いつも通りの挨拶
いつも通りの笑顔
ちゃんと出来てるかな
少しの恐怖
少しの優越
「お早ようございます」
良かった
まだ大丈夫
誰にもバレてない
細かい部分の
ほとんどは
自分しか知らない
人目に映る大半は
同じようで少し違う
大雑把な表情と感情
少数でも多数でも
変わらない
ありふれた人間の
ちょっとした狂気じゃ
視聴率も取れやしない
僕も並に
変な人の一人
だから罪を犯しても
おとなしくて
いい子だった
あんな事をする人じゃ
で終わる
気にしすぎかな
醜さを露呈するのに
特別である必要ないか
膨らむ欲に耐えられず
破けた殻を捨てられず
素直になれず
自らを慰めて
夜を眠れずに過ごした
ありがちになりがちな
僕の半生
お前とは違う
何がだ
人より優位に立って
自らを誇示したがった
見下していた
脳内だけの話だが
破った殻を
被ってたって
自慢にゃならない
変わっていたとしても
さほど変わらないよ
誰の物差しであれ
君はやはり
何者にもなれない
他の誰を騙せても
自分自身に
バレバレだとね
苦しいだけだろ
小さいな