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詩人:甘味亭 真朱麻呂
人は生まれやがて死ぬ
そんなあたりまえが今さら悲しくなってきた
なにもこわくないと言った僕だけど
年をとればとるほどなその事実がなんだかおそろしく見えてきた
あたりまえが奪うもの
あたりまえが生み出すもの
すべてが影のあるもの
すべてが決まった限界をもつ
そんなあたりまえが悲しい
仕方ないことだからこそ悲しい
ただ悲しいだけの問題じゃないんだ
あたりまえが僕たちの人生を縛る
あたりまえが僕たちの毎日を牛耳る
そんなあたりまえが時おり涙がでるほどいやになる
でもあたりまえに助けられたことも何度かある
敵か味方か
あたりまえは僕を傷つけたり心配したりする
全くおかしなやつだ
悲しい気持ちはあたりまえだという友達
ならばどうそのあたりまえを力に変えていけるかを考えなさい
そういう大人
周りはいいな
そんなふうに考えてはすぐ悲観的になる
どこかに逃げたくなる
弱虫なだけと思わないで
あたりまえを愛せばいいのか 嫌えばいいのか
あたりまえは嫌われたいのか 愛されたいのか
わからないほどやることなすことちぐはぐだ
僕はあたりまえがわからない
あたりまえの意図がわからない
だからあたりまえは愛せないし嫌いきれない
だからあたりまえは僕をずっと親友とは呼ばないしかといって親の敵とも言わない
ただあたりまえはあたりまえにあたりまえな事だけを僕におしえる
あたりまえとしての考えをもって間違いを間違いだといい
あたりまえとしての考えをもって正しいものを正しいといい
子供をしつけるように
いいことはいい
だめなことはだめ
悪いことをすれば叩く
いいことをすれば撫でる
そんな常識にしたがって回り続けるループは聞き分けのいいやつには嫌みな程優しい
今もって理解不能だ
長いつきあいのはずなのにちっともわからない。