詩人:獏
怖かったの
とても
駆け付けてくれた
あなたに抱きしめて貰って
それでもしばらくは
目を 閉じるのが 怖かった
さっきまで
私に向かって
振り下ろされてた
キョウキ
目を閉じると思い出してしまうから
逃げ回ってた
緊迫した一秒一秒
目の前に横たわる
崩れたようにヒシャゲタ遺体
周囲の喧騒を
さえぎるように
ゆっくり背中をさするあなたの手
わたしは少しずつ
解放される
震えから
怯えから
恐怖したすべてから
それから
ゆっくり目を閉じるの
目を閉じても
もうあなたしか
見えなくなってきたから
暖かく優しい
あなたの手
見開いたまま
空を見つめてた私は
あなたの温もりに守られた安堵で
ようやく
はらはらと涙した