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詩人:望月 ゆき
疾走感 と 焦燥感 の
折り重なった狭間で、
ドライブ
車の窓から手を出して
うしろへ、うしろへ、
流れてゆく景色を
さわって、あそんだ
ときどき
指のあいだをすりぬけて
流れ去ってしまう、
二度とさわることのできないものがあって
それは
落としてしまったルースや
いくつもの幼い恋のように
透明で、なまぬるいもの
だった
明るいうちに、ぼくらは走ろう
ストライプの、隙間
しまっておいた言葉が
こぼれてしまわないように
夕闇から、逃げて
街から街へ
岬から岬へ
人から人へ
先回りしても、いいんだよ
心だけ
なにもかも伝えることなんて、できない