詩人:甘味亭 真朱麻呂
大切なものはいつでもすぐそばにあるのに
誰も気づかない
誰も振り向かない
誰も近寄らない
それはもう指先すら届かない場所にある
近くにあっても見えないしつかめない頭の中にある記憶 頭をかち割っても取り出せやしない
もしあの日に戻れたら
どんなにいいだろう
なんてことを戯言のようにつぶやく
トイレのふたがあがってるのに気づかないままじかに便座に座ってしまって冷たくてびっくりしちゃうときみたい
こんな気持ち
せつない
死にたいな
今なら死ねそうだな
ああ そんな自分
なぜ悲しみ引きずってまで生きているのだろう
明日に向かうんだろ
決まりがつかないのさ
なんてつぶやいてもまた明日になれば
そしてたぶんきっと僕のことだからそうは言いつつも笑って寿命がくるで生きてるよ
しかし でも
死にたい 死にたいばかりいう僕はひどく縁起でもない人
そんな僕がうたえるのはきっと縁起でもないうたしかない
縁起でもない人だから
縁起でもない人でしかないから。