詩人:甘味亭 真朱麻呂
大人びた理屈を並べるだけで
僕はちっとも君の言い分なんて聞く耳を持たなかった
ついに業を煮やし
君は家を出た
帰ってこいと鎌を掛けるが一向に君は納得のいく返事はくれずに
許してもくれなかった
でも僕は
仕事から帰ったとき
君の幻を見た
『お帰りなさい』の一言だけだったけど
その一言を思い出したら
泣けてきた
床に座り込んで
瞼が腫れるほど泣き崩れていた
それに気づいて
泣きながら
君に電話したら
君も泣いていた
お互いにゴメンねを繰り返した
その次の日
君は帰ってきて
僕は君をぎゅっと抱きしめていた
自分の愚かさを知って
もう二度と君を泣かすようなことはしないと堅く胸に誓った。