詩人:さらら
みずた まりさんは
春の花咲く雨の日
ある公園の上
みずたまりさんに
枝の花映り
花びら落ちて浮かぶと
素敵な小さな水辺
5月の風 映し
6月のドシャ降により
みずた まりさんは少し大きくなり
迷い込んだ自転車
水はねて文句気味
子供たち長靴でじゃぶじゃぶ遊ぶ
そのうち
おたまじゃくしの♪のよな泳ぎ
青い空 写し
みずた まりさんは
おたまじゃくしたちを
愛しく感じながら
蛙となり水辺から飛ぶ姿
見送った
7月になると蝉とまった枝 写し
傍らに抜け殻たち
きらきら
蝉の音 入道雲
みずた まりさんに写る
突然の夏雨
涼しくはねた後
8月の猛暑日
続いた
みずた まりさんは
干からびた
子供たち
みずた まりさんが消えたと
アイスと汗の匂いのTシャツ
蝉は盛んに鳴いていた
秋の無音くぐり抜け
公園の子供たち少し背を伸ばし
秋雨 降る
しばらく 秋の夜を
広がるような空 雲
みずた まりさん
また 写して
子供たち冬向きの衣で走り出す
雪が写った白い冬
みずた まりさんは
朝 凍りついて子供たち ぱりぱりと
凍った みずた まりさんで遊び
また 春が来た
あの おたまじゃくしたち
いつか 跳ねて飛んでいったよに
あの頃の 子供たち春に制服着て少し離れた先へ通い出す
みずた まりさんの上
桜 降り落ちて
小さな水辺美しく
また おたまじゃくし泳ぎだし
そしていつしか 公園にはビル建ち
大人になり おじさんになった、あのこ
みずた まりさんを ふと
想いだす