詩人:どるとる
世の中の掟を
理由とか関係なく守りましょう
例えば
黄色い線の内側で電車を待つように
枠をはみ出した想像が僕を暴落の彼方に誘(いざな)うよ
大人たちが口々に
口を酸っぱくして
言うような
世の中の真実
正しさの神髄
でも僕には
それさえ
誰かが決めた
多数決の結果に
過ぎないと誰かが掲げたこの世界の掟を鼻で笑った
さあ 何を破り捨てようか?
ただ僕は そこで掟に縛られて遠い空に浮かぶ太陽に手さえ届かない現実に溺れてる
悪い奴らはたくさんいる それなのに
涙をのむのはいつも弱い立場にいる人たちだ
何かおかしい
何かが間違ってる
黄色い線の外側にある答えが知りたい
雨音のような雑踏に紛れたたくさんの足音の中に 救いはない
言葉を交わすなら ネットでもなく携帯でもなく 面と向かって話したい
くだらないことのすべてを そのくだらなさの限りを
僕らは追い求め
最近あったこと
様々なたわいもない会話の中に隠れた小さな幸せを
僕はただ 聞きたい
話したい わかってもらいたい 嘘でもいいから…
共感を得たいんだ
ただ同情が欲しい
そんな悲しい願いすらも 叶わぬ世の中ならば 俗世に吹く風は嘸や寒かろう 寒かろう
ただ 当たり前な毎日にそっと寄り添うように 存在する曖昧なリアクションの一つ一つ 覚えきれない人の名前とか 朝のニュースのあの人の死とか そんな出来事のすべて
黄色い線の内側でだけ起こる 変わり映えのない一風景
なんてくだらないんだろう
だけどそのぶん愛おしいな
黄色い線の外側へ踏み出せない僕には
勿体ないくらいの毎日だ
ああ 巡り来る新しい季節は 暖かいストーブを必要とする雪と聖誕祭の季節
身構えることなど何もない
ただいつものように
黄色い線の内側で電車を待つように
正しい行いに基づいて 毎日をただそれとなくやり過ごせ
それがおまえにできる精一杯。