詩人:フィリップ
すっかり生きていた
夜の帳をくぐり抜けながら
僕らは地べたに寝そべって
まだ見ぬ明日を待ちわびている
ところで
百年前に僕は
この場所で何をしていたのだろう
百年後の僕は
この場所で何をしているのだろう
生まれ変わりを経て
また人間になれたならいい
ここはきっと
思いがけない場所になっているに違いない
いつの日だったか
殺した鹿を食べた気がする
熊野川の透き通る冷たさの水を口に含んで
僕はあの時
確かに人間だったのだろうか
我々は
何処から来て
何処へ行くのか
殺したものの肉を喰らいながら
命を分かち合いながら
そんな事ばかり考えている
今日この頃