詩人:どるとる
絶え間なく行き交う人波に 優しさを求めるならば
それは大きな間違いだと今すぐ知りなさい
みんな自分のことで精一杯だから
他人の心配なんてしている暇なんかないんだよ
本当は僕だって君だって人と交わりながら生きなくていいものならば 今すぐ群れから抜け出して
一人になりたいんだろ?
地図もなく ヒントもなくただ唐突に始まった旅路は
掟を守ることだけ教育されて
頭の良いだけの人がごまんとあふれ
心の中が腐ってる奴らばかり
世の中に吹く風は
冷たすぎて 下手をしたら 自ら命を絶ってしまいそう
あなたの瞳に映る世界は僕の瞳に映る世界とどう違うんだ?
何も変わりなんてないさ
だけどあなたはよく笑う
人ごみの中に紛れたら 誰が誰かわからなくなるほど 大して特別でもない容姿だから
そんなちっぽけな存在でも ちゃんと輝いているかな
光のようにあたたかく
影のように冷ややかな
人の心を信じきることもできなければ疑いきることもできない毎日だけど
あなたが傍にいることで何かが吹っ切れるんだ
笑っていて
傍にいて
そしてくだらない話を続けて
影は伸び 夕暮れ
夕闇も迫るころ
電柱の森を抜け
ただいまとドアを開ければ すべての悲しみから解放されるわけじゃないけど
なぜか悲しみが 薄らいでいくような気になれる
優しさは多分 この街にもあるはず
ふと気づけば小さな花が目立たぬ場所に咲いていても気づかないように
当たり前な毎日に寄り添うように
咲いている
咲いている
あなたがいて
僕がいて
話すまでもないような
毎日がここにあって
あれやこれや
繰り返してさ
光のようなあたたかさと
影のような冷ややかさを併せ持つ
僕ら人間の心の中に宿る 果てしない愛だけは真実って気がするから 抱きしめてみる 目の前でただほほえんでる 汚れのない人に 心を傾ける
もう誰も疑いたくはない。