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[172520] 愛のうた

詩人:どるとる


そこで人が泣いていたから 慰めただけのこと
そこで人が泣いていたから 笑わせてあげただけのこと

そこに人が困っていたから 助けてあげただけのこと
そこで人が迷っていたから 道を教えてあげただけのこと

そこで人がふさぎ込んでいたから 導いてあげただけのこと
そこで人が傘を忘れたみたいだから 傘になってあげただけのこと

そこで人が 輝いて見えたから 思いきって声をかけたら 話が合って こうなっただけのこと

なんも不思議なことはない
不思議探し始めたら
それこそきりがないじゃないか
だから僕はいちいち考えずに のんびりゆったり生きていたい
亀のような低速のスピードで 流れてる時間に乗り遅れるくらいのまぬけさで

心のゆとりがあるのなら 誰かのぶんまで 願い出て 誰かのぶんまで背負うことくらい何てことないさ
心の広さを自慢する
自慢するからには広いはず それじゃいたしかたありませんねと しゃしゃり出て
君のぶんの荷物までよいしょと背負いたい

君の君の 悲しみも
君の君の 喜びも
ひとりで背負えば喜びも味気ないもんですよ
だから 僕にも背負わせて 君の君のすべてを
半分こ 二分の一
涙を分け合って
喜びを切り分けて
二人で同じ
味の悲しみを喜びを味わうのだ
味わいゆたかな
ほろ苦い後味も
繊細な舌触りも
詳細なまでに
覚えてしまう

そこに君がいたから
好きになっただけのこと
べつに特別なことじゃない 愛のうたにはほど遠い
だけどこれほどまでに人のこと大事に思ったのははじめてさ
これからもよろしくね
喧嘩は日常茶飯事さ

ああ ゆとりがありすぎて 君のすねた顔までも 時折影の差す君の横顔までも たまらなく愛おしい
多分これが愛なんだね
多分これが愛なんだね

ほらね いつのまにやら 思い倦ねた夜が明け 窓から差し込む朝陽に照らされ できました
できたてほやほや
愛のうた。

2011/12/03 (Sat)
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