詩人:高級スプーン
残さなければ
知られずに終わる
言い知れぬ者に
毎夜、囁かれ
躍起になって
朝、起きてから
夜も眠らずに
言の葉を
摘み取り続けた
自分と対話して
反響を待つ時間すら
勿体なくなって
ティッシュを片手に
ひたすら
手を動かした
間抜けな行為だと
自分でも思いながら
それでも止められず
葉が一枚も
残っていないのに
まだ止められなかった
朝も夜も関係なく
言い知れぬ者が
傍らで叫んでいる
拷問だ
殺される
止まらない
もう何も残せないのに
止まらない
助けてくれ
こんなに苦しいなら
死んだ方がマシだ
殺してくれ
いやダメだ
まだダメだ
こんなもんじゃ
残し足りない
もっと
もっと
言の葉を
むしらなきゃ
もっと
もっと
もっと
でも
もう
枯れてし