詩人:甘味亭 真朱麻呂
君が悲しい日には
僕の心にも雨が降る
君の心と僕の心は
裏と表のリバーシブル
気持ちはいつも裏返し くだらない事でケンカがはじまる
悲しいのは目に見えてるのになぜか悪魔が囁くんだ
君は表で僕は裏生地だ
悲しみと喜びのリバーシブル
君が悲しい日には表生地の僕の心も君の気持ちがしみてきて悲しい色に染まるよ
なぜか表生地は僕で裏生地が君
これじゃだめだな反対にしようか
なんてやさしさを見せてみても… でも裏生地に君がなることで一番に悲しみにふれる君を守りたいのさ
それでも悲しい雨がやむわけじゃない
けれど少しは少しは君の悲しみも薄まるだろと笑ってみせた僕の真意が明らかにされたあの夏を君は今もおぼえてるかな
その真意
伝わってなかったにしても
悲しみと喜びのリバーシブルは 今でも続いてる
人間のあいだで
誰もが誰かとリバーシブル
ときに悲しくって
ときにうれしくなって
笑ってしまう
不思議なリバーシブルで僕ら重なっている
二人で一つ
その真実だけで十分だとは思えませんか?
僕は想う
あの日と同じくらい暑い暑い夏の午後に
畳に寝ころびながら
耳の奥 通り過ぎる風鈴の音を聴いた
今 思えばその音は君の叫びだったのかな…
なんてことも同じく想う 想う 想う
つよく想うのです
ただ 想うのです
目がくらむほどのきつい陽射しに目をそらしたときすべてが奪われた
遠いようで近い歩幅
中途半端な距離の先で必死に笑う君を見ていた
僕と君のあいだその距離を本当はもっと埋めたいのに
なにも言えなかった
幻が先に埋め尽くしてる気がして 気がして 気がして
とても言える勇気はなかった
ある夏の日の僕の心
その日だけはリバーシブルになれずにあとに僕の心の中とっかかりになっていたんだ
その日は僕ら別々の色 単色 孤高の色。