詩人:どるとる
皆それぞれの胸にともる灯火
大きさはばらばら
少しの風に 消えそうでも 消えない
案外 打たれ強い
灯火 ゆらゆら
数多くの思い出を燃やす
灯火 ゆさゆさ
数多くの思い出を灰にする
皆それぞれの瞳にともる世界
目を見張るような
真っ白な気持ちで
あなたを抱きしめたい
風なんかじゃ消えないけれど 時間の重圧に負けて僕らは あっけなく消えてしまう
ああ 灯火ゆらゆら
辿ってきた日々が燃える
灯火 ゆさゆさ
指を折り ひとつふたつと消えていく月日を数える
失ってゆくもの
得るもの
すべてはいつか
空の彼方に消えていく
さりとて人は それまでの数十年を命を懸けて 生きていく
灯火の消えるその日を ひかえ
今日も 少しずつ 少しずつ 私の時間は消えていく
さみしさも切なさも
灯火は何もかも燃やす
灯火ゆらゆら
数多くの思い出を
灯火ゆさゆさ
灰にする
宇宙の塵となり
気泡のように繊細な
その灯火が消えるまで
その灯火が消えるまで
からだすべてで
生の実感を得る
からだすべてで
血の流れを感じる
ゆらゆらとただ
ゆらゆらと揺れながら
ゆさゆさと ただ
ゆさゆさと揺れながら
トクトクと脈打つ静と動。