詩人:甘味亭 真朱麻呂
思い出は万華鏡
のぞき込めば
きらめく日々が
その向こうに見える
遠いようで近い場所にある感じ
でも
つかめるようでつかめないのが
思い出なんです
戻れたり
つかめたりしちゃったら思い出の意味がないし思い出のぬるま湯に浸かることの楽しみもないさ
思い出は過ぎ去ってもう戻れないから思い出なんだ
そのために流す涙もまたきらめく宝石さ
ダイヤモンドよりパールやエメラルドより価値があるし値段なんかつけられない清く澄んだ涙
思い出を浮かべるときだけなぜか悪い詐欺師でもきっと偽れない心をもてるんだろう
そう思う
だから僕も
悪い心
のぞき込めば
清い人になれるかな
清い心をもてるかなと
のぞき込む
思い出の万華鏡
今じゃもう記憶にもない幼いころやいろいろな思い出が見える
微笑ましい光景だ
僕はたぶんきっともう清い人だろう
きれいな思い出をのぞき込む人は誰も
懐かしさで心が洗われて誰でもきれいな心を取り戻すことができる
問題はそのあとにまた汚すのかきれいさを保つのか
そのふたつだけだ
その二種類がいるだけだ
万華鏡 キラキラ
ありふれた日々
それさえ宝物
万華鏡 キラキラ
あたりまえな記憶
それさえ誰かがくれた命
授かった 最大の奇跡
今 また ふたたび
何度も 何度も
のぞいてみたい
死んでしまいのぞくことさえできなくなるまえに
思い出は生きている間だけしか見れないし思い出は生きているときに見るものだから
それでいい
それで正しいんだよ
でも思い出は死んでしまっても心の中でいつまでも変わらない輝きを放ちながら僕をその日の気持ちに返す
万華鏡 くるくる
回そう
全ての思い出を抱きしめながら
今 さあ ほら 流れゆく時にせかされながらもゆっくり思い出をのぞく。