詩人:どるとる
忙しさに目を回す
その様はまるで
カメレオン
上司や先輩に
こびを売り
都会の空気に馴染み
その時々の色に染まる
まるで僕ら大人は
色とりどりに
自在に色を変える
気分屋の
あなたも私も
僕ちゃんも
みんなカメレオン
横断歩道は
青になるまで
待ちましょう
青になったら
右を見て 左見て
安全確認
さあわたりましょう
そんなふうに 生きていたら いつの間にか
なにか大切なものを忘れていることに気づいて 悲しくなったよ
不安を背負って
小粋なブルース
うたって
酒場の近くの
安いバーで
馴染みのあいつと
いっぱいひっかけた
僕らの日々は
まるで出来損ないの
ピースの足らない
ジグソーパズルのようさ 歯ぬけの心地
もうそろそろ誰かに合わせて 相づちうったりこびを売ったり
すり手したり ゴマすったり
するなんてやめないか? プライドを大事にしたいよ
立場なんて二の次さ
そんなたいそうなことがいえるのはいつでも強い立場にある人だけ
だけれどいつか僕だって言ってやるさ
都会のカメレオン
今日も目を回してるよ
いろんな出来事や
かったるい事情に
せわしなく働いて
あれやれこれやれいいように振り回されて
矛盾だらけで変なとこで正確にはたらく
そんな世の中で生きていくのもたいへんです
されど カメレオンは今日も 愛する家族のため 幼い子供のため
精一杯舌を伸ばして
しあわせというハエをつかまえようと
努力を積み重ね
無理なほど頑張ってるんだよ
少しは認めてあげてね
慰めてあげてね
カメレオンの涙だけは嘘も偽りもなく
きっときっと本当なんだから
ああ 緑色のもとの僕の色に戻ったときには 日はとうに暮れ
さみしいきもちだけが胸に残ってる
カメレオンは進むよ
腰を低くして 人と人のあいだを縫うように歩く
ちっぽけな頑張りは
やがて大きな花を咲かすのかな。