詩人:どるとる
電車の中 携帯の液晶画面を 見つめたまま動かない若者の猫背
ボタン押す指だけが まるで生き物みたいに活発に 動くだけ
携帯の画面や パソコンのネットの中の会話の中に
愛や優しさはありますか?
何か忘れてないかい?面と向かって話すこと忘れたら僕らは活字やメールだけの繋がりになってしまうよ?それって悲しくないかい?
くだらない日常の会話の中から生まれる
何かがあるんだ
その丸まった猫背をピンと伸ばして
目と目で見つめ合い
話をしてみろよ
あいさつもろくにできやしないけど
きっと心淋しい僕たちは誰かと話をしたがってる
会話をしようよ
なんでもいいから
夜明け前の街並みに
さえた空気が流れる
言い知れない切なさに包まれてゆく 言葉など死に果てて
カラスも不安げに飛ぶけれど
今にも消えちまいそうな小さな街灯の明かりを見つめながら
朝を待つ冬の一頁。