詩人:ワタナー
初めてつないだ手は温かった
あの時は
ぽかぽかに晴れた春の日
キミが手を取り引っ張って
一番大きな桜の木の下まで連れて行ったんだよね
キミの明るい声
キミの明るい笑顔
桜よりキミを見ていたかったくらい
夏には2人で花火をしたね
キミの浴衣姿
正直あれが目当てだったんだ
2人並んで食べたスイカ
ちりんちりん
ちりんちりん
風になびいたキミの黒い髪
その度にキミの香りがした
秋はいつも一緒にいたね
手はいつも繋いだまま
キミが強く握ったり
僕が握り返したり
目が合ったり
合わなかったり
しゃべったり
黙ったり
笑ったり
怒ってみたり
笑ったり
キミの笑顔ばかり見ていた気がする
暖かい雪の降った冬の日
クリスマスイウ゛
にぎわう街にはキミと僕しかいなかった
離れ離れにならないように
強く握った手の
やらかい感触が
今でも忘れられない
ポケットに突っ込んだ手を
いつもキミが持って行っちゃうから
手袋だってしたことなかった
冷たい冷たい手
どんなに
どんなに
握っても
キミは握り返してはくれない
目を閉じたまま
もう笑ってくれない
もうしゃべってくれない
その口に
やさしくキスをして
この涙をぬぐってくれと叫ぶ
もう一度笑ってくれと叫ぶ
もう一度手をつないでくれと叫ぶ
もう一度目を開けてと叫ぶ
もうすぐ桜が咲くよ
キミと初めて手をつないだ場所
ここにきたら
もう一度キミが連れて行ってくれるかな
僕の手を引っ張って