詩人:遥 カズナ
レジに並ぶ
老人が割り込むように私の背後に
並んでしまうと
「並んでんだよ」と
声がかかった
老人は丁重にあやまると
別のレジへと並んだ
それを見届けた目線を
声をかけた男へ向けると
私とは目を合わせようとは
しなかった
そうして
前を向き直し
見てみると
レジ打ちの女性が
打ち忘れた
小さな商品が
カゴの隅にのこされていて
「スミマセン」と、少し強く
会計を済ませるのを留めるように
声をかけ
手を商品へ差し向けると
何事も無かったように
彼女は
商品のバーコードをよみとり
買い物袋へと差し込んだ
会社では
ベテラン社員が退職して
パートだが
長らく勤めるおばちゃんが
朝から
周囲に人がいないのを見計らって
がなりちらしてくる
理由は、私の努力が足りない為に
まわりが迷惑している
との事だ
まあ、仲良しのイケメン社員が
人手不足で苦労しそうなのが
目に余ったのだろう
そういう事だ
こうして
書いてさえいれば
何かまたわかる事も
きっとあるだろう