詩人:甘味亭 真朱麻呂
僕のさみしさは夜空に浮かぶあの三日月だけがわかってくれる
泣くなよ 僕よ
泣くな 大丈夫さ
何を根拠に?
なんて僕は
なんて僕は
闇にとけ込んだ三日月が見当たらない夜には涙さえなぜかな流れない
それはきっと
それはきっと
涙が流れるくらいの喜びがないから
悲しみがあって喜びがあってはじめて僕は笑える
だから苦しみもはがゆさもせつなさもきっと捨ててはいけない
悲しみがある場所に
帰ろう
帰ろう
そんな言葉で目を覚ました瞬間
僕の後ろに幻みたいな夕暮れが世界を包む
景色いっぱいに広がっていた
本当なんだ…
なあ 三日月よ
そうだろ?
三日月よ
幻が降り注ぐあの景色の真ん中で唯一の特等席で見てた君ならわかるだろう?