詩人:高級スプーン
真夜中に裸で歌う
君を見て
感じるものは
人それぞれ違う
僕は
思い出したんだ
そういえば
君が好きだと
様々なパズルの
一片一片が
四方八方に
雑ざって散らばってて
今の気持ちで
無造作に選び
組み合わせた
出来上がって
見返すと
やっぱ変
心搏数が異常だし
腕が三本もある
鋭いツノが生えてて
鬼みたい
でも
白い羽が生えてて
天使みたい
これじゃ化け物だ
継ぎ接ぎだらけの
フランケン
一心不乱に造り直す
没頭しているうちに
此処は何処だ
みたいな
君のように僕も
己を
剥き出しにしたものの
不安と
恥ずかしさで
いっぱいになって
自分から
抜け出して逃げた
不意に
聞き覚えのある声
振り返ると
真夜中に裸で歌う
君だった
この白い羽で
君を包みたいけれど
ツノが刺さって
君を傷つけてしまうかも
胸のドキドキが
思考を飛ばす
勢いに任せて
三本の腕で
僕は君を抱き締めた
崩れ落ちる体
自業自得だ
君はまだ歌ってる
一層
声を強めて
忘れているのか
出来損ないの僕の事
ふと我に帰る
思い出した
そういえば
君は僕を知らない
名もなき風に吹かれて
またもや
僕は逃げ出した