詩人:どるとる
ここにないものを
想像するように
空気椅子に
座るように
生きたい
ここにないものも
あたかもあるように
見せるパントマイム
壁をつくるよ
移ろい行く日々の中
ゆれる 草木よ
わけもなく
時を 見送り
僕らを終わりへと
追いやるのか
ここにないものが
一番欲しいよ
ここにないものが
一番足りないよ
空気椅子に座って
本を読む 休日の昼下がり
車は 絶えず 行き交う 何も不思議なことなどない日常の中
わき上がるように
生まれた 疑問を
解き明かすのは
その不思議のなさを
解き明かしたあとだ
ここにないものを
想像するように
空気椅子に
座るように
生きたい
ここにないものも
あたかもあるように
見せるパントマイム
壁をつくるよ
ここにあるものは
どれもがらくたばかり
重力に逆らいたくても落とした林檎は地面に落下して砕けるよ
それが僕らの日々
悲しいくらい
それがふつうだ
それでも僕らは見えない何かを信じてるように 空気椅子に腰掛けるように 見えない明日にすがりつくだろう
そのくせ同じように見えないものが沢山あるのに それは信じようとはしないのさ
それはなぜかな?