詩人:どるとる
心に嘘をついて
笑えば笑うほど
哀しい海に
溺れていく
無理に微笑む
あなたを見てると
とても悲しくなる
ただ誰かを思いやる
それだけできっと
幸せなんて
たやすく手に入れられるのに
僕らは欲張りだから
いつでも いつまでも覚めない夢の中
来るはずもない夜明けを待っている
あなたの瞳に映る
明日はどんな
色をしているのかな
おしえて どうしたら僕らは 心に嘘をつかずに 心から笑えるのかな
身も心も ささげた
人よ 愛をおしえてくれたのに どうして
あなたは僕に淋しさを 残して 消えたの
ふいに吹く風にさえ
なぜかあなたの気配感じて振り返ってしまう そんな僕だよ
ゆっくりと
ただゆっくりと
季節は過ぎ去って
波が 砂に描いた文字を消して行くように
時の波が あなたの記憶をさらってくれたらどんなにいいだろう
おしえて あなたは幸せだったのか
何もない 部屋の中
ベランダに干された
風にたなびく白いシャツ
ああ 面影だけが
春の陽射しに揺れていた。