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詩人:望月 ゆき
クリープ現象で
夜をすべる
アクセルを踏みそこなった右足で
有明ランプをまたぐと
すこし遅れて
あした が きょう になる
うしろへと流れる景色を手がかりに
恋人だったはずの
あなたを、さがす
腕時計もライターも持ってない人だった
わかれる時はいつも
手ぶらの両手を、大きくふった
コンビナートのすきまから 灰色の
東京湾がチラッとのぞく
右足の重力が
闇の引力に負けそうになる
そんなときはきまって
あなたの匂いにつつまれる
遊園地も遠くの列車も夏も、おわってしまった
高速道路をおりると すぐに
ガソリンスタンドがまぶしく光る
交差点にぶつかる
あとひといきで、空だった
赤信号でとまった
また、走りだした