詩人:甘味亭 真朱麻呂
人は旅人
靴をすり減らして
宛も行き先もない
旅をつづける
君も旅人
僕もまた旅人です
宛も行き先もない
それでも生きる
旅はつづく
あしたへと みらいへと
生きる者にだけ光を注ぎ
死した者には安らぎの炎(ひ)ををくべる
時の歯車は
さび付くことはないから
とわにまわりつづける
今のところは
壊れるよていもみこみもない
くりかえすことにあきて決められた終わりがくるまえに待てなくて仕方ないなら各々生か死かのどちらかを選ぶだけ
開け放された自由の中でそれもまた自由
さあ お選びを
生きるも苦渋
死するも苦渋
どちらを選んでも同じだけの十字架(リスク)が扉の向こうで待つ
それでも生きたい…
それでも死にたい…
くりかえしくりかえす迷いとさだまらない思いの中で行きつ戻りつまた行ったり来たり
こちらでもなくこちらでもない
ずっとそんな感じ
死ぬまでつづくのか
そんなことに費やす時間は無駄なのか必要なのか
それさえわからない
僕はただの水滴だからただ流れにまかせてすることをしているしかない
悲しい旅人 時の旅人
歯車は今日もギリギリまわる
まるで誰かの叫び声みたいに
まるで誰かの代わりのように
歯車は涙の雨を受けて水車のようにまわる
その音がいつからかものごころついたときからうるさくて
都合のいいときだけ都合よくきれいにひびくから 笑ってる
けっきょく
僕はいまだ時の旅人
生きるだけなら誰にもできるさ
えらくはない
ただなにもせずにいても生きられる
死ぬことは誰にもできるわけじゃない
でもえらくはない
なにがえらいとかえらくないとかわからないけど
生きているような意味や意義を見いだしたりみつけることが生きている者が生きてると胸を張れる最大の言い分だと思うから僕は生きる。