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[51055] 流れてく、頭上の、

詩人:望月 ゆき

低いオクターブで
朝を告げながら
高いところを
水が流れている
知らないあいだに またひとつ
季節をまたいでしまった


雲と空に距離が生じてゆく
そのすきまを
縫いながら、通過する
白く細い、機体の
声なき声


目に映らないものばかりが
ほんとうのことのような気がして
耳をすます
すると
空と雲の距離を、はかることができる


水面に反射する光は
ニセモノみたいに まぶしい
未来の方角へと
ゆっくりと、たえまなく流れている


あの、暑い日
飛んでいった白い帽子が
その川の向こう岸にあることを
知らないまま


からだのすべてを
耳にして
深い深い底から
それを眺めている

2005/10/06 (Thu)
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