詩人:甘味亭 真朱麻呂
この世界には色がない
だから自分をあらわす個性もない
まるで地底の中にあるような世界だから暗闇にはばまれた世界さ
空になにを叫んでも自分の居場所さえ神様はくれやしない
神様なんていないから
鮮やかな色はすべてあの汚れた黒い壁の向こうに隠れてる
太陽がまぶしいと感じたこともない
太陽も月でさえ暗闇じゃすべての光は意味をなさない
楽しいはずの世界
それを僕も望んでいた
でも本気で楽しいのは幼いときだけらしい
おもちゃで遊んで笑える無垢な脳味噌をいつからか汚してしまった
汚い大人の色で
だから鮮やかな色はいつの間にか心の中の暗闇にのまれた
モノクロの世界
さびしさが僕に毎晩毎晩不安の風船をむりやり手渡す
明日のぶんも手渡す
ここは暗闇遊園地
記憶の中のいやな思い出の棄て場所
光はひとすじさえ届かず人々の笑顔や幸せの景色さえ色がないから悲しく見える
それを悲しむ涙さえ色のない涙
だから気持ちさえさめてしまうよ
ここは暗闇遊園地
とざされた心の中にだけ存在してるさびしいさびしい場所
誰の心にもある逃げ場所 鍵を掛けた部屋
孤独の住処(すみか)
それが暗闇遊園地
さび付いて動かない観覧車と不安を配りつづけるピエロとわけもわからず立ち尽くす僕がいるだけ
どこまでも続く黒い空がよく見える
メリーゴーランドの白馬も汚く見える
すべての美もすべての純も暗闇で暗闇で悲しく見える
そんな場所に僕はいつからかいたんだね
抜け出そう
願わくば 今すぐ
出口を探そう 何の味もしないソフトクリームでも食べながら
さまようように腰を下ろすは変わらない日々
色あせたベンチ
またも暗闇遊園地
でもいつか抜け出してやる
悲しみ振り切って輝く未来を手にしてやる
この世界の色に染まったら自分がだめになるから。