詩人:どるとる
ある日の夕暮れ
初恋の人と
乗り合わせた
電車の中
気づかれないように
並びの席に座った
次の駅まで続いた
その 緊張は
なぜか 少し 懐かしさを 漂わせていた
時計を見るしぐさが
あの頃のままで
なんだか切なくなった反面 嬉しくなったよ
君を さり気なく見ていたけれど
君は気づかないまま
本を読んでたね
次の駅まで続いた
不思議な二人の会話のないめぐり逢い
寒い冬の 電車の中での出来事
次の駅まで 君が降りるまで 続いた
あの時間
僕を童心にかえした
電車から降りる君の背中を見たとき
その背中を追いかけたくなったけど
少し腰をあげかけて
追いかけられなかった僕は動き出す電車の中から そっと改札を出る君を見た
夕闇近づく頃
東の空を紫色に染めていた
次の駅まで 余韻のようにいつまでも 切なさが ついて回った
名前さえ 覚えちゃいないけど 懐かしいあの顔 初恋の人さ。