詩人:望月 ゆき
2個で150円、
の うたい文句につられて買ったそれは
避暑地の出来事のように
ふわふわと軽く
わたしを照らし
黄色く、寄りそうのでした
夏のような酸味と
ひとくち目の
甘い、甘い、感触で
ずぶずぶと入りこんでしまったのは
わたしの落度だったのでしょう
苦い経験というものは
いつも
あとからやってきます
宙に浮かんで
満ちたり、欠けたり、
するわけでもないのでそれは
つなぐ手のなくなったわたしの右手で
ぐいぐいと搾られて
空気中に
ビタミンを散布しながら
枯れてゆきます
寄りそうそれを眺めていると
酸性の涙が流れてきて
150円とひきかえに
世界はまた
地球温暖化に悩まされる日々です