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詩人:どるとる
君はそこにいるよ
僕以外の人には
見えなくても
猫の額ほどの
庭で春の陽射しが笑ってる
君がいなくても
テーブルにはいつでも
君の分の食事も
並べている
さよならの向こう側には何もないのかな
君だけが 空気に融けていなくなったあの日から何もかもが壊れた
僕の時間は止まったまま君がいた頃と何ひとつ変わらない毎日を続けてる
燃えるような夕焼け空を夕闇が 包み込むと 夜の腹の中におさまる街並みにさみしさが降る
君はどこなの?
本当は見えないよ
それでも会話をするよ
それでも泣いたりしないよ
君はここにいるんだ
消えたりなんかしてないさ
さよならの向こう側には幸せはあるのかな
手のひらで隠した涙
指の間からこぼれ落ちて さみしさに勝てない夜だけど
君はいなくなったと言いきってしまえば
君は本当に僕の心からもいなくなってしまうから 今日も見えない君と話をするよ
見えない君と愛し合うよ
誰もいない空間に向かって 微笑むのさ
テーブルをはさんで
向かい合う今日だ
まだ君のぬくもりがこの手の中 残ってる
まだ君の匂いがこの部屋には残ってる。