詩人:どるとる
ゴミの山だって
チリも積もれば
なんとやら
金も一円だって
貯めりゃ
結構な金になる
ゴミの日には
きっと
もっと棄てるべきものがある
例えば僕らのつまらない言い訳や
誰かの惨い言葉や
街中にあふれる
人々の舌打ち
道徳のない行為
なんだか 悲しい世界だな
誰かの傷が 癒えないのはね
傷をさらに広げるような毎日が続くからなんだよ
たやすく あなたが吐き捨てた
『みんな同じ』
そんな言葉に振り回されて 僕らはすっかり行き場を無くすんだ
『みんな同じでもみんな違う』
そんな気持ちになれないばかりに
ゴミの日には今日も
もったいないくらいの余り物が棄てられる
本当に棄てなきゃいけないものは 腐っても残ったままなのに
ゴミの日には今日もゴミ捨て場にはカラスが袋を啄み生ゴミを食べ散らかす
人は 悲しい生き物さ
すぐに人を憎むから
すぐに人を嫌いになれるから
分かり合おうとすればするほど 距離は遠ざかる
譲り合おうとすればするほど 割り切れない毎日だ
人も街も空も川も
一見美しいように
見えても 隠れたところにひそむ 悲しさがあるんだな
人と人とのあいだには今日も 微妙な隙間がある
その隙間が埋まらないかぎり 僕らはゴミのような言葉を散らかして 日々を汚して歩くんだろう
今日はゴミの日
今日こそ 袋に悪い自分を詰め込んで
少し優しくなってみよう
少し思いやりを持ってみよう
誰かを思う
人の気持ちになってみる
それだけでまた違うから
それだけで何かが変わるから
それだけでゴミは棄てるには惜しいゴミになる。