詩人:どるとる
空は茜に染まれども
僕のこの心は青くただ青くどこまでも 若葉のようにまだ何も知らない
長い夢を見ていたような
そんな気すらするよ
今日というつかの間の幻
暮れゆく空の色と見事なまでに重なる
切なさに焦がれる胸の小さき声を 拾い集め 僕はまた僕の中の僕を一つ失うや
さよならの向こう側に 見える景色はともすればどんなもんだろう
さよならの向こう側に 揺れる街並みは今日と変わらずにただ穏やかな時が厳かに流れる
さよならとただつぶやいて消えていく人の影揺れる 夜の灯りの下 言葉もなく ただ黙りこくり 俯けば 優しさが胸に仄かにともるんだ
頼りなくあたたかいそのぬくもりは 僕が眠るその時までつづいたよ
さよならとこぼせば溢れ出す涙の行き先は誰も知ることもない黄泉の旅路(みち)と聞くのです
されど乾いた涙のあとは見えずとも心のどこそかに残っているのです
ああ さよならの向こう側へと消えたあの人も 今では笑ってる
ただそう信じたい
さよならのこちら側の僕や すぐ傍に寄り添う愛とも呼ぶべき灯火は 消えそうな笑みを浮かべ 僕のぶんのさびしさまで背負っている強いひと
雲に隠れた月のように ごまかしてばかりで嘘ばかりの僕だけど 君は何も言わない
さよならとただ言い渡せば君は 頷くのかい 儚げに佇む君の影 僕は今も若葉のまま
さよならも言えずに
愛に嘘を重ね
冷たい海を泳ぐよ
そしてまた繰り返す
押し寄せてくる波のよう
僕の涙は乾けども
降り出した雨はやまない
悠久の刻の中
日は昇れども
月は沈まず
僕を悲しく照らすのさ。