詩人:りんくす
電車の扉が開いて
バイバイも言わずに
さっさと電車を
降りてしまう
いつものことだから
きっと振り向かず
さっさと階段を
上がっていっちゃうんだろう
でもなんだか
もっと話していたくて
わがまま言って
反対方向の途中まで
タダこねて
つき合わさせた
こんな日まで
振り返りもせずに
いっちゃうなんて…
電車にぽつんと座って
階段を裏側から
睨み付けてたら
涙は出ないから
ずっとそうしてた
そしたら…
階段の裾で揺れる影
くすくす笑いのきみ
見透かされた恥ずかしさに
私のおでこにプンプンマーク
だけど
その瞬間──
バカ野郎
なんて呟きながら
嬉しくて