詩人:どるとる
名前のないものに
名前をつけたら
涙も強さに変わるかな
色のないものに
色をつけたら
幸せさえも鮮やかに見えるかな
目には見えないものに影をつけたら
命にさえも 生命が宿る
耳には聴こえないものにリズムをつけたら
絵に描いた音符さえ
楽器がなくてもひとつの歌にもなる
目が見えない人や
耳が聴こえない人にはきっと目や耳が見えてたり聞こえてても大事なものを聞き逃したり見過ごしたりしてる僕らにはわからない音色や景色があるんだ
目がいくらよくても
見えないものがある
耳がいくらよくても
聴こえないものがある
それは誰にもわからないよ
生きているという音が刻むメロディ
それは僕や君にしかわからないよ
笑っている泣いている ただそれだけで歌になる 景色になる
だから聴こえないメロディでも ちゃんと君の耳に届いてる
悲しいことも嬉しいことも ちゃんと心に聴こえている
だから ほら 耳が聴こえなくたって
目が見えなくたって
メロディはいつでもまぶたの裏に 景色が広がり 頭の中でリズムは鳴り続ける
それは愛だったり
憎しみだったりするけど 数え切れないたくさんのメロディに包まれながら
知らないあいだに
僕らは 音になる 色になる 景色になる
ひとつの世界になる
それがメロディだ
誰も 知ってて
誰も 知らない
メロディだよ。