詩人:A
今日服を買った
くじ引き一回できた
マグカップが当たった
帰りの電車でお金を拾った
マグカップを落として割った
お金を駅員に渡した
改札を抜けたら1億人目
おめでとう、でマグカップもらった
家でのんびり眺めれば柄は諭吉
電車の中に服を忘れてきた
この上なく荒れた部屋で
体育座り
どんなに面白くて愉しくて
嬉しくて聞いてほしくて
仕方のないことも
よくよく考えれば、
他人にとっては些細で
至極ぞんざいなことで、
話し終えた途端、
つまらない音に劣化してしまう
ように思えて、
ボタンひとつ押すだけに
親指が凍ったみたい
"発信"の二文字が恨めしい
こころばかり饒舌
服もマグカップも諭吉も電話も、
そんな明け方の夢