詩人:どるとる
今日も目の届かない場所で 人が死んでる
壁の向こう側が見えないように ほらわからないだけで
無機質な笑顔で隠した心に 目隠ししたように無関心が服を着て歩く都会の空には
まるでそんなことないかのような白い雲が浮かび 穏やかな陽射しが差し込んでる
ああ 海を越えなくても毎日 戦争は起きてる
僕らの中 みんなの中争いは絶えないだろう
殺し合うのではなく
感情を打ち消しあう
互いが互いの本心を悟られぬように生きるんだ
無表情を装って
生きるのは至難のワザ
だけれど嫌われるくらいなら さも打ち解けてるようにつまらない話題にさえ拍手を送るの
仮面をかぶることを
規制された街で
僕らは心の扉に施錠して生きてる
『子供の素直さ以外』は罪です
『大人は黙ってイエス』と頷きなさい
『言われたことだけ』やればいい
『反抗は悪』です
そんなルールにとらわれるあまりに僕らは感情が凍りついたんだな
無表情の街に灯る明かり きれいだけど
ほら それは外面だけの美しさ
僕らのように皮をはげば醜い本性が見えるでしょう
そしてまた 人は
幸せを装って
今日もその幸せに
振り回され
退屈紛らすために
人を殺める
憂さを晴らすため
人を傷つける
時代のせいじゃないよ
誰のせいでもないよ
考えてもみてごらん
どんな世界だって
人が人であることを
忘れたらいっかんの終わりだ
綻びひとつをほったらかしたら そこから人も街も腐ってゆくのさ。