詩人:どるとる
頭の中に浮かべよう
例えばきれいな星空や
いつか綴った物語の続き
頭の中にひろげよう
例えばいつかのさよならや
ずっと前捨てた渡せなかったラブレター
頭の中に さざ波が
頭の中に 寄せてきた
頭の中の 排出物を取り除くように
すべてをさらう
流した涙も
浮かべた笑顔も
命さえも 果ての果てまで
目を閉じれば 夢の中
意識はどっか旅してる
頭の中に浮かべたよ
例えば汚い誰かの言葉や
忘れられないあの日のときめき
頭いっぱいにひろげたよ
例えば気まぐれな誰かのハンドルさばき
頭の中に 行き渡る
涙がじわじわ 行き渡る
僕らは悲しい 悲しい生き物なんだね
同時にとても素敵な素敵な生き物なんだね
頭の中で 答えが出たよ
僕らは 思い出すたび変わるものさ
さっきまでの気持ちも今ではまるで嘘のよう
頭の中に 隠した
命の目覚ましも
いずれ受け入れるべき悲しいさよならも
すべてさらうあの波に誘われて 眠りに落ちたが最後
僕らは跡形もなく。