詩人:どるとる
僕らは 憎しみを持って 生まれてきてしまったんだね
知らなければ良かった 愛や優しさを知るたびに人の闇が一層醜く 見えてくる
悲しみを抱えて 生まれてきてしまったんだね
誰かを愛するたびに誰かに傷つけられた記憶がよみがえる
何もかも 脱ぎ捨てて 生まれたときと同じように裸になって 向き合おう
どうして人はこんなにも人を愛せるのに
どうして時にむごいほどに人を憎めるのかな 答えのない闇の中をさまよい続ける
そんなさだめに身を焼かれながら 僕らは今日も刻々と刻まれる時の中 喜び悲しみ怒りそして深い眠りから覚め
迎える朝に 何を思うだろう 千の夜明けをこの眼に映してもわからないものはずっとわからないままだ
フラッシュバックのように唐突によみがえる記憶
いくら記憶をたどっても生まれるまえどころか幼いときの記憶さえあまりない
日々、大事なものを失いながら 生きているようで時にとてつもなく悲しくなる
断りもなく押し寄せる波にのまれるように たどり着いた今日にまた僕は 立っている
その気になれば多数の人間を幸せにできる力があるのにそんな力を悪用する罪と罰を背負う僕らの行く末は果たして
フラッシュバックのように突如として回想される過去のメモリー
いつか誰かがつけた足跡の上に生えた大きな木を見上げれば絶え間ない歴史がそこに垣間見える
そして長い時間の中 積み上げた思い出に僕らはタイトルをつける 悲しみだとか幸福だとか
気づいたら ここにいた
気づいたら 跡形もなく
僕も君もたったそれだけの存在ならば
すべての出来事にそれぞれ意味を見出すべきだ
そうはじめから何もかも意味のない仕掛けられた旅なのだからせめてその旅に絶え間ない歓びを。