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詩人:どるとる
計算で解けるものは
限られた 範囲の中での唯一
学校で学んだだけの知識では 心の教えまでは紐解けぬ
本物を偽物と 偽物を本物と 言い換えてまたすり替えて 考える 考える 考えて考えて考え抜いて出した答えが 僕の心臓となり 命綱となる
脈打つのは 命にあらず このプライド
形のない 宝物
そもそも見えざる手の所業
思考の森 そそり立つのは 僕が苗から育てたなんの役にも立たない難解な問題を解き明かすだけの知識という名の木々
だがそれは全て 無意味 全て無駄
果てしない計算と思考の先にたどり着く答え
世の中は巧みに泳げても 果たして僕らはそれで 愛し合えるか
果たして僕らはそれで 人の痛みに気づけるだろうか
本当に大事なもの
見つめるべきもの
見失っていないか
忘れていないか
迷えば迷うほどに
僕は理屈と知識で
穴を埋めようと試みる
それでも塞がらない
穴があることを僕らは意図して知らないと 目をそらす
目を閉じて見えるもの
喩えるなら、頭を使わずに心のみで答えを導き出すこと
簡単なのに難しいとつまらない争いで物事を片づけようとする愚かな世界には足りないものさ
大事なものは頭じゃわからない
目を閉じてはじめて見えるものだ
心の目の視力検査を始めよう
きっと頭はよくても
心は腐ってるよ
大半の人たちは
本当を知らない
本当が見えていない
さあ目を閉じて見てごらん
きっと目を開けたままじゃわからないものが見えるはず
流した涙も浮かべた笑顔もついた嘘も乾いた笑いも
全てを必要としない
ただ単純な愛や馬鹿らしいほどの冗談が
いつもの幸せが よりはっきりと 輝いて見えるはず。