詩人:如月。
たぶん、私は
ずっと昔
輸血した先で
帽子かぶったパジャマ姿の
他、患者さんより元気そうに見えた
十代の男の子が
長椅子に座っていた私の横に座り
話しかけようとしたけど
私は少し年上で
噂されるのを避けようとして 席を立った
その数日後、その男の子は
無菌室で この世を去っていた
それからだ
私が 変わったのは
輸血する前
前歯が真っ赤に 染まっていた
肌に大きな紫斑が
幾つかできて
血は過多出血となり止まらず
輸血した先で
主治医は、その症状が出る前、
何処に居たか、必死で尋ねていた
私は、原発の傍にその時居て
原発手前、夏の半袖、手足の肌は、素肌。
夜だったから、帽子無し。
帰宅し、たくさん吐いた
そして肌に
赤い斑点
後にいくつかの紫斑となり、大きくなった
、髪が ごそっと抜け落ちた
主治医は、症状と場所を照らし
合わせ、必死に尋ねていた
放射線障害という、用語は使わず
後に、ある原爆に関した映画を見た
私と同じ症状の登場人物
そこで始めて、放射線障害の症状を知った
この詩人の部屋に登録した後、
その時の主治医の先生と似た名を見かけ
詠むと
病棟の内容か ベッドに寝ている人に対する
想いのような詩
先生だったのかな
私は、あの病棟を想い出すことがまだ辛かったりする
同じ病室の、まだ若い女性が去られたことより
あの、十代の男の子の事
ふと想い出す
原発推進に、何もそういう体験が無い癖にと
当たり散らしている訳ではない。
事実を知って欲しいから