詩人:どるとる
たしかなことはむねの中
いつも、わかっているようで 何ひとつわからない
曖昧にすれ違う 見事に
ずっと同じ場所にいるのに今日と昨日は違う曜日
なんとなく目をやった庭の木
のっそりと佇む
そのいでたちはもっぱら僕の憧れの的
楽しいこともありゃ
悲しいこともある
全く品揃えの良い世界
悲しみには事欠かない
喜びにも事欠かない
生き方さえ制限されない
だからこそ 自由という言葉が時に 人を縛り付ける
なんとなく目を閉じた 庭の鶏
小屋の中で
寝息を立てて夢を見る
それだって小さな物語
ばかにはできない
夢のある日々さ
なんとなく目をやった庭の木
のっそりと佇む
そのいでたちはなんともまあ自由であることか
僕は働く 半ば嫌々
君も働く 生きるためだけに
そんな日常からは遠く離れた 庭の木はなんて いい毎日を送っているんだろ
自由が自由がこんなに悲しい
自由なことが こんなに痛い
庭の木に のぼって
泣いた 今日の夕暮れは 記憶の中 すっかり焼き付いて
離れない
離れない。