詩人:甘味亭 真朱麻呂
なんなんだろう この気持ち ずっと僕を苦しめる 恋の痛み
この気持ちが恋だとわかってるけれど恋の意味やあり方はまだ知らないから
君が好きって単純なこたえすらあのときの僕のあたまにはなかったよ
制服の第一ボタンがはずれて地面に転がり落ちた 追いかけて 拾おうとしたら君が拾って渡してくれた
ちょっとだけ指がふれた
それだけで
胸が苦しい 君を見れば見るほどにあたまの中に君がうかぶ
夜空にうかんだ月のように あざやかに
涙がでるほど綺麗なのにその気持ちは声にならないせつなさをはらんでる
夢の中 羊にすら同情されて渋るしかない僕
君が好きだよ そう言えたなら 明日から僕らお弁当一緒に食べるのかな
そんな気持ちも消えてしまいそうなのはきっと僕と君のあいだには話すきっかけもなにもなく ましてやことわられる可能性すらあるから
なにもかもおそれずに言えたら なんて無理だし
関係ない人たちには本当に関係ないしばからしいし大げさな気持ちだ
でも僕にとっちゃちっともそんなんじゃないのさ
こんな年頃にぶつかれば誰も僕と同じような経験抱く
通過した人やこれからの人には関係ないよ
ただ見て笑えばいいだろ
これは映画でもお芝居でもない
正真正銘の現実
おふざけなどいらない
だからこそまじめにならなくちゃ
初恋物語は確かにあの日 はじまった
ついに完結まで読まず 投げ出したけど
それが現実なのかもしれない
もし言っていたら叶った恋とも限らないし
そのため負っていたやもしれない傷跡も見あたらないし
よかったのかな
悪かったのかな
今はただそんな真っ白な気持ちでいっぱいです
ふと思う
大人になってとぼとぼ歩く旅路の途中
あの子は元気かなって
なんて言いながら
ため息ひとつ
空を見上げ誰にもばれないように雨に涙を紛らせた。