|
詩人:剛田奇作
うっとり 貴方を
さがしている
貴方の仕草を
貴方の輪郭を
香りを
時間を
さがすことは なんて
甘美な亊
ため息が出る程に
どうしても思いだせない愉しい夢のように
瞼に彩る、教会の緑のように
すべての呼吸のなかの
貴方の唇からもれる
気まぐれな歌を
気違いみたいに
欲しくてたまらなくて
いつも息切れしながら
足は縺れながら
そう、
また追いかけている
私の爪の先が 貴方の肌を掠めようとした寸前
貴方の黒い瞳が私を射る
震えて ゆっくりした瞬き
バラバラと切れる想いが砕け散って
すべては振り出しに戻され
両手を何もない空にかざして
追跡は終る
いっそう霞む貴方を
幾度も風になぞり
赤いリボンを握り