詩人:剛田奇作
君のガラスの首筋に
よそよそしいキスをして
また
私の唇は傷だらけ
それでもあの午前の
甘美な夢から醒めたくなんかなくて
君の首や肩の温かさに酔いしれている
羽さえも 君の首すじに触れたらはらりと切れる
残酷な程、鋭く、優しい君のからだ
用意された君の構造
内部
体温
真っ正面な君のすべて
生臭いものなんて嫌いだけれど
君の心臓になら 触れさせて
両手が傷だらけになっても
きっと日だまりのような温もりを感じているね
屈託のない瞳で私を許す君
君の中で許される私
もはや原型を留められないほどに
そのガラスの首筋に
傷つけられている
黒い髪も はらはらと切れて
君の白い脚の間に堕ちる
私はいつまでも
甘い傷の数を数えている
街の人通りが増えても
きっとこの部屋からは
でられないから