詩人:秋庭 朔
夜な夜な自分に似た人を
求めて街を徘徊していた
本当はそんな奴がいるこ
とさえ、信じてはいなか
ったし、もし、いたとし
ても、そんな奴と友だち
になどなりたくなかった
ぐるりと交わりたい時だ
け、みんなと同じになり
たがり、集団の中では、
誰とも違う自分でありた
かった
そんな得手勝手なサルか
ら人間らしくなれたのは
自分の限界を知って大人
になってからだ
夢を無くした代わりに、
現実を手に入れた
住む場所があり、食べる
物と着る物がある。困っ
た時、手を貸してくれる
友だちがいて、自分だけ
を見ていてくれる大切な
人もいる。手に入りそう
にないものは最初から欲
しがらないから結局手に
入らないものは何もない
これで、幸せではないと
したら、この世界に幸せ
な人間など一人もいる筈
がない