詩人:甘味亭 真朱麻呂
思い出に背中押されて今をうまく生きれないよ
だれに聞いてみてもこたえはいつも同じでだれが見ても僕はあまりに不器用な人 まるまった背中をさらにまるめながらなんとなくで今日も日が暮れてく
沈んでく夕陽
降りる夕闇
灯りがともる街 帰る人の影
早く土日はこないかな
そんな思いにばかりかられて
今日がやっと終わってもホッとする暇などなくてさ
変わらない日常が僕をここに縛るだけ
ため息まじりのあくびをもらして家路を急ぐ
さよなら 夕陽よ 今日の日よわけもなくにじんでゆく景色はもう二度とは戻らない思い出の中へと消える永遠の時間
落ちた涙拭いもせず歩き出すその足どりは鉛のように重くて
転んだりつまずくたび自分の不器用さに薄ら笑い浮かべても悲しくなるだけ
涙が僕を悲しみで満たしていく
そんな記憶さえ明日にはどうでもよくなるのかな
だとしたら僕はとても都合いい奴だ
いつかここにいた人を忘れてしまうように
涙はいったいどこへ流れてく?
あの人の笑顔が僕の胸の中で熱く思い出されて
大切な事は最後まで思い出せなくてそれがときに良かったり悪かったりして
僕は今も涙を流す
大人になったからって涙とは決別できない 悲しい出来事があるところ涙はあり続けるから
涙の記憶も僕といっしょにどこまでも死ぬまで思い出に消えないシミのようについているよ
帰る場所を僕も探したい この街にあるならどうかおしえてよ
口笛 吹きながら悲しい雰囲気をかもし出す空の色
焦げたトーストのように空は真っ黒け
悲観的なわけじゃないのさ
悲しみに暮れていたくもない
ただそうさせる何かが消えないから
言い訳だろうか…?
ただ時間はそんな事言ってる間も容赦なく流れてく 流れてく
思い出から今に戻る帰り道
長い坂の途中
息をあげ 頂上に向かって夢から覚める。