詩人:どるとる
何かを忘れている
何かが欠けている
完全を装った不完全な世界
何かを見過ごしている
何かを諦めている
美しさを装ったむなしい世界
僕の瞳に映る世界
誰かの瞳に映る世界
万人にとっても
個人にとっても
同じように映る
世界なのに生きる形や生まれた境遇が違うだけで楽園と地獄くらいの差がある
人は自分を比べ
どれだけ人より自分は幸せで
どれだけ人は自分より勝っていて
優越感に浸っても
本当の自分は見えてはこない
目には見えない瞼の裏の景色
本当にたいせつなものや本当に見つめるべきものはそんな見えない場所にあるのに
悉く人は見逃すよ
僕はどうやらとことんまでに不器用で
肝心なときほど鈍い
そんな僕らはまるで
陽射しにも当たらない日陰にそっと静かに咲く日陰草
それでも愛すに値する価値のある存在
一人一人が同じ重さと輝きを持っている
一人一人が同じ命とすれ違う時間を刻んでる
何も違いなど無いはずなのにどうして僕らは陽射しの中でも悲しみ抱く?
いつから憎しみなど覚えたのかな
いつから嘘をつかなきゃ笑えなくなったのかな
どうでもいいことは何も変わってない
大切なことは変わってしまった
日陰には今日も咲いている
笑えば笑うほど悲しくて泣けば泣くほどむなしくて
笑うように
泣いて
泣くように
笑う 人ごみの中
僕も何かを忘れたまま 生きているよ
陽射しの中でもこんなに寒い
陽射しの中でもこんなに痛い
見えるだろうか 他人の痛みや苦しみが
気づくだろうか 通り過ぎてく人たちは
それを鼻で笑うならこの世界に希望は無いに等しいな。