詩人:どるとる
カフェオ・レのような
淡くほろ苦い季節です
繊細な甘さが香り立ち匂い立つ日々の中
僕はただ眺めてる
空に並んだ秋の景色
まるで美しい風景画のようだから
寄るつもりは無かった
だけれどなんとなく
寄った喫茶店
頼むのはカフェオ・レ
スプーンでかき混ぜて啜ればほろ苦い甘さが口の中で踊る
まるで秋の味
だんだん寒くなる
コートが目立つようになる
冬になる前の少し肌寒い季節
夏と冬のあいだ
そこに僕は立ってる
今
中秋の風景画の通りすがりの誰か
誰かが描いた風景にたまたま居合わせた人
されど描かれるに値する人
みんな同じだろう
そしてまたカフェオ・レの季節は風のように過ぎて嘘みたいな寒い冬がその猛威を震わし
この暑がりの僕でさえその寒風と気まぐれな雪で重ね着させる
僕は今 カフェオ・レの最後の数滴を飲み下し
また気まぐれな散歩へ行きます
冬の寒さと凛とした秋の切なさが混ざり合ったカフェオ・レみたいな甘さと苦さを併せ持った風に吹かれて僕は今オソマツな詩人になる
この風景よ果てしなく永遠なものであれ
美しいものは永遠でなくては
たとえ消えてしまっても生きているうちは何度でもその風景の中にとけ込めるから
誰かが描く風景画の通りすがりになるために僕は生きてる
中秋の真ん中に
陰影みたいに在るようで無いようなそんな存在感揺らしながらここにいるのさ
いつか風になる日まで
僕はただの通りすがりになるため秋に描かれたい
なんとなくぼやけていたっていい
なんとなくかすれてたっていい
なんとなく消えそうでもいいんだ
僕はただここにいるだけでこの風景画のひとつの景色になるから
演じるは通りすがりのひと雨みたいな役でも
いなくちゃさびしい
そんな人になれたら
枯れていく運命さえくしゃりとしなって色あせても幸せな事だときっと笑えるから…